天ぷらって外食で食べる機会があんまりないレアなキャラクターだと思う。
ファミレスでもあまり見かけないし、天ぷら専門店に行くとなるとそれなりの覚悟が必要になる。
それでも天ぷらが食べたいとなると、チェーンの天丼屋に行くとか選択肢がぐっと減る。
日本橋にある「天ぷらめし 金子半之助」はそんな数少ない選択肢の中で、個人的にかなり上位に食い込んできている。
都内の天丼屋だと「浅草の大黒屋」とか「人形町の中山」とかが美味しいけど、揚げたてサクサクの天ぷらと天丼はもはや別の食べ物だ。
サッカーとラグビーみたいなイメージか。
カウンターで職人が揚げるのをライブで見せられ、その揚げたてが目の前に運ばれてくる様子が既に御馳走だと思う。
揚げたてが食べられる様に2回に分けて提供される天ぷらはマイタケ・エビ・イカ・玉子・アナゴなど、ボリュームも種類も多い。
一口サクッと食べると、素材の旨味がじゅわーっと口中に広がって天ぷらの存在する世界に生まれて、本当に良かったと思う。
天ぷらを食べて、ごはんを食べる。味噌汁を一口飲んでまた天ぷらを食べる。
ごはんのおかわりは100円で有料だが、一瞬で無くなって速攻でおかわりした。
天ぷらをおかずにして、今までに無いくらいのスピードでごはんが減った。
マイタケの旨味、エビ天の衣の中にあるプリプリの食感、天ぷらなのに身がふわっふわっのアナゴ、どれを食べても美味しい。
ふわふわ、ではない。「ふわっふわっ」である。
この違いは重要だと強く思う。身までカリカリに揚がっているんじゃなくて、あくまで天ぷらの衣だけがサクサクになっている所に職人の技を感じた。
美味しそうな食べ物の表現の一つとして「宝石箱」と言うのが有名だけど、今回食べた天ぷらめしはさながら「金塊」の様に、綺麗なきつね色に揚がっていた。
それなりに並ぶお店だけど、また「ふわっふわっ」のアナゴを食べたい。